December 11, 2006

ミッキーマウシング


FSM(Film Score Monthly)の最新リリースCDが、はるばる海を渡り届いたので、さっそく聴いてみた。
なんと、なつかしの「トムとジェリー」。
子供の頃よく見ていた「ポパイ」「ウッドペッカー」と並ぶカートゥーンの代名詞とも言えるアニメ。
作曲者は、MGMで活躍していたスコット・ブラッドリー(Scott Bradley)という方。

TOM and JERRY

この音楽、ミッキーマウシングの極地とも言えるもの。
ミッキーマウシングとは、簡単に言うと

登場キャラクターの一つ一つの動きに
完全にシンクロさせて音楽を付けること。

走り出せばテンポが早くなり、ころんだりなぐられたりした時にもピッタリとパチンと音が入る。この作品を一つでも見たことのある人なら、なんとなく想像できるんじゃないでしょうか?
音楽が単なるBGMではなく、ストーリー展開の鍵となっていた作品。動きの描写と心理描写を同時に行っていた。子供ながらに、音楽でドキドキ・ワクワクしていたような気がする。

今でこそデジタル編集で完璧なシンクロも容易になっているが、当時は映像を見ながらのアナログ作業。
テンポを微調整したり、尺合わせに変拍子を入れたり…。その都度譜面を修正、大変な作業だったと思う。純粋に音楽だけ聴いてみて驚かされた。
日本では「ジャングル大帝(旧作)」の冨田勲さんや宇野誠一郎さんなどが代表格。
また「ゴジラ」の伊福部昭さんは、かつて東宝のスタジオでスクリーンを見ながら指揮をされていたとも聞く。

今はどうかと言うと、あらかじめシーンを想定して録り溜め(悲しいシーン・緊張シーンなどなど)、そしてMA作業で切り貼りというのがほとんどである。
アニメにハリウッド作家を投入するこの時代、それも致し方ないのかも。